【イベントレポート】OKJアカデミー【変化の激しい市場で挑戦を続ける理由】


OKJアカデミーについて

OKJアカデミーは、暗号資産・Web3初心者、Web3に興味のある学生、金融や投資に興味はあるが暗号資産にまだ触れたことがない人が、暗号資産をはじめとするWeb3に対する理解を深め合い、Web3の障壁をなくすことを目指すコミュニティです。定期的にオフラインイベントとして開催していきます。OKJスタッフや特別ゲストによる講義に加え、参加者に楽しんでいただける内容を心掛けています。

「変化の激しい市場で挑戦を続ける理由」をテーマに掲げた今回は、2026年9月15日に港区立産業振興センターで開催いたしました。ゲストは株式会社メタプラネット 執行役CFOの奥野晋平氏、株式会社メタプラネット証券 取締役COOの宮崎思佳氏、そしてスペシャルゲストとして株式会社pafin 代表取締役 Co-CEOの斎藤岳氏です。


【Session 1:OKJ×Metaplanet ~変化の激しい市場で挑戦を続ける理由~】

第1部では、ビットコイン(BTC)を財務戦略の中核に据える上場企業・メタプラネット社をお迎えし、同社が急変化する市場で挑戦を続ける背景とその成長戦略についてお話しいただきました。モデレーターはOKJマーケティング部チーフマネージャーの齋藤将輝が務めました。

登壇された奥野晋平氏は、証券会社の投資銀行部門にて約20年にわたりエクイティ・ファイナンスやIR戦略立案を支援してきた金融のプロフェッショナルです。個人投資家として企業分析に取り組むなかでビットコインの可能性に着目し、同社へ参画しました。また、マッキンゼー・アンド・カンパニー出身の宮崎思佳氏は、事業戦略責任者を経てメタプラネット証券の取締役COOに就任。デットファイナンスや社債投資を通じた成長企業支援と投資機会の提供に注力しており、一般社団法人スタートアップ協会理事も務めています。

講義では、東証上場企業である同社が2年強にわたりビットコインを中核資産とする財務戦略「ビットコイントレジャリー」を推進してきた経緯が語られました。ビットコインを①長期的な価値保存手段、②グローバルで中立的な金融資産、③次世代金融の基盤資産と位置づけ、円の減価・インフレ環境下で株主価値を守り増やすための合理的な資本配分として開始したといいます。1株当たりBTC(BTC per share)やBTC Yieldの最大化を重要な経営指標に据え、直近1年で5,000億円超の資金調達を実施。2026年7月2日には、ビットコイン総保有数が43,000BTCに到達(ビットコイン保有量は上場企業としてアジアNo.1)。株主基盤は約25万人規模に拡大し、エクイティや転換社債、優先株など多様な調達手段を機動的に使えるようになったといいます。

講義のハイライトは「BTCを大量に保有することはゴールではなく、出発点に過ぎない」というメッセージでした。同社が目指すのは、BTCを中核資産とする日本発の次世代デジタル金融プラットフォーム「Project NOVA」。BTCを中核資産・担保レイヤー、ステーブルコインを決済・分配レイヤー、セキュリティトークン(ST)を権利・キャッシュフロー表章レイヤーと位置づけ、この3つを接続して商品組成から販売、投資家への提供までを一気通貫で行う構想です。第一種金融商品取引業者であるメタプラネット証券をグループの中核会社とし、JPYC・Progmatとの共同検討(2026年7月公表)を通じたデジタルクレジットの実証発行や、ST債形式での発行を目指す取り組み、さらに米国子会社を通じたアセットマネジメント事業への展開も紹介されました。米国ではStrategy社の「STRC」など永久優先証券市場が急拡大しオンチェーン化も進んでおり、同様の流れは日本でも時間の問題だとして、その発行体・担い手になっていく姿勢が示されました。

セッションの締めくくりには、メタプラネット株主向けの優待施策も発表されました。2026年9月30日を基準日として同社株式を100株以上保有する株主を対象に、OKJでの取引手数料を88%還元(お一人あたり上限15万円)するというもので、利用期間は2026年11月から2027年4月まで。株主ポータルからOKJを選択してエントリーすることで利用できます。


【Session 2:パネルディスカッション「暗号資産はアセットクラスとして選択肢の一つになるのか?」】

第2部では、奥野氏、宮崎氏、暗号資産の損益計算ツール「クリプタクト(cryptact)」を運営する株式会社pafinの代表取締役Co-CEOであり、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)の税制検討部会長を務める斎藤岳氏、そしてOKJのCCO(Chief Compliance Officer)藤野周作氏によるパネルディスカッションを実施いたしました。モデレーターはOKJ社長室の山田宗一郎が務め、制度、税制、市場インフラの各視点から、暗号資産の現在地と未来が深掘りされました。

国内の市場動向について、奥野氏と宮崎氏は「投機対象」から「金融システムの一部として制度化されるフェーズ」へ移行しつつあると強調。ステーブルコインやセキュリティトークンの法制度整備が先行するなか、既存の規制金融が持つ信頼性・投資家保護と、オンチェーン技術の即時性・透明性・プログラマビリティを組み合わせる基盤が整いつつあると語りました。個人投資家の間でも、暗号資産を短期的なトレード対象ではなく長期的な資産形成やポートフォリオ分散の選択肢として捉える動きが始まっており、今後の焦点は、制度整備の段階から銀行・証券会社・資産運用会社が実際の商品・サービスとして提供する段階へ移れるかにあると展望しました。税制についても、2028年に見込まれる約20%の申告分離課税への移行について、奥野氏は「現行制度における最大の参入障壁の一つである総合課税が見直されれば、暗号資産は株式や投資信託と同じ土俵で比較・検討される、より一般的なアセットクラスに近づく」と説明。長期保有・積立を目的とする資金流入や損失の繰越控除、金融機関による商品拡充、海外に流出していた取引の国内回帰など複数の変化を見込むとし、BTC現物と、BTCを基盤とする優先株・デジタルクレジットなどの証券化商品との役割分担がより明確になり、「現物を買うか否か」の二択から、リスク許容度やインカム需要に応じて複数の商品を選択する市場へ発展する可能性を展望しました。

これに対し、OKJの藤野氏は暗号資産交換業者の現場目線から市場の実像を語りました。2026年7月15日に暗号資産の規制を資金決済法から金融商品取引法へ移管する改正法が成立していたことに触れ、「実態はとっくに投資商品だった。法律がようやく現実に追いついた」と説明。「ETFが来たら取引所は要らなくなる、と言われることがあるが、実際にビットコインを買ったことがない人がよく言うことだ」と続け、BTC保有企業・ETF・取引所は競合ではなく役割が異なると説明しました。国内の暗号資産交換業者が預かるビットコインは全社合計で約18万BTCである一方、メタプラネット1社で43,000BTCを保有しており、「国内の暗号資産交換業者に預けられている量の4分の1近くを、1社で持っている」と紹介。取引所の役割を「水道の配管」に例え、「配管が詰まったらその日で終わる。OKJははっきり配管側。地味だが、ここが止まると上の階層は全部止まる」と強調しました。企業のBTC保有が広がるかという問いには、企業が保有に踏み切れない理由は価格ではなく「誰が承認するのか」「監査法人に何と説明するのか」「鍵は誰が持つのか」といった社内体制の問題だとして、「相場ではなく、会議室で止まっている」と指摘しました。

税制の議論では、日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)のアドバイザー兼税制検討部会長を務める斎藤氏が、実務家としての立場から加わりました。斎藤氏は与党や関係省庁との改正要望の議論にも携わる立場から、総合課税から申告分離課税への見直しによって個人投資家の資金流入が期待できることに加え、2028年には損失の3年間繰越控除の導入も見込まれ、株式と同等のアセットクラスとして捉えられる大きな契機になると解説。自身が代表を務めるpafinが暗号資産の損益計算サービス「クリプタクト(cryptact)」を提供していることにも触れながら、投資家が確定申告や損益計算という実務面のハードルに直面している現実を指摘し、ユーザーの税務負担を軽減し安心して取引できる環境づくりの大切さを語りました。奥野氏も「現物を買うか否かの二択から、リスク許容度やインカム需要に応じた多様な金融商品を選択する時代へ発展する」と応じ、制度・税制の両輪が整うことへの期待を重ねました。

藤野氏が取引所の役割を「水道の配管」に例えたのに対し、宮崎氏はメタプラネット証券のような企業・証券会社を「蛇口」に例え、投資家が実際に使いやすい金融商品を届ける役割を担うと説明。Session 1で紹介された「Project NOVA」の証券機能「BTC関連金融商品の組成・審査・販売を一気通貫で担う体制」こそが、その「蛇口」としての役割にあたると位置づけました。「配管」と「蛇口」がそろって初めて水は届く、という例えに、会場からもうなずきが見られました。

「5年後の資産運用ポートフォリオ」についての議論では登壇者の見方がおおむね一致しました。藤野氏は「全員が暗号資産を持つわけではない。ただ、ポートフォリオに入れるか入れないかを検討すること自体は当たり前になる」と述べ、メタプラネットの株主数がこの1年で6万人から25万人に増えたことを引き合いに、「株主の多くは、おそらく自分でビットコインを買ったことはないだろうが、メタプラネット株を通じてビットコインに触れている」と紹介しました。奥野氏・宮崎氏が推進する証券化商品等の多様な受け皿、斎藤氏が目指す利用者の利便性向上と税制インフラ、そしてOKJが掲げる「ハッキングゼロを継続する強固なセキュリティと暗号資産の流動性」という基盤整備のすべてが揃うことで、暗号資産が社会的なアセットクラスとして定着していく道筋が示されました。


【抽選会・交流会】

講義の最後には、現金のように手渡しできる使い切り型のビットコイン用ハードウェアウォレット「Opendime」が当たる抽選企画が行われ、会場全体が盛り上がりました。その後の交流会では、登壇者への質問や参加者同士の会話が途切れず、帰り際には「非常に勉強になった」「次回はいつ開催されるのか」といった声が数多く寄せられました。


【まとめ|OKJアカデミーを終えて】

今回のイベントを通じて一貫して伝えられたのは、暗号資産が単なる投機対象を超え、企業の財務戦略や資本市場における本格的なアセットクラスとして着実に位置づけを変えつつあるという事実です。制度や税制の整備が進むなか、参加者の皆さまにとっても、これからの金融の潮流を捉え、自身のリスク許容度や目的に合わせた向き合い方を考える有意義な機会となったのではないでしょうか。

OKJアカデミーは今後も継続して開催していきます。暗号資産に興味はあるけれど何から始めればいいか分からない——そんな方は、ぜひ次回ご参加ください。