OKJアカデミーについて
「上場企業のWeb3事業戦略の現在地」をテーマに掲げた今回は、2026年3月9日に開催いたしました。ゲストは、株式会社NTTドコモ・グローバルの稲川久雄氏、三井物産デジタルコモディティーズ株式会社の辰巳喜宣氏、博報堂キースリー株式会社の重松俊範氏、株式会社セブン銀行の山方大輝氏、野村ホールディングス株式会社の松永早弥香氏です。
【ゲスト講師の講義|「上場企業が挑むWeb3事業の現在地と未来の可能性」】
今回のメイン登壇者として、大手各社でWeb3領域の事業推進を担うリーダーたちが集結しました。NTTドコモ・グローバルの稲川久雄氏、三井物産デジタルコモディティーズの辰巳喜宣氏、博報堂キースリーの重松俊範氏、セブン銀行の山方大輝氏、そして野村ホールディングスの松永早弥香氏の5名です。金融・通信・広告・Web3インキュベーションといった多様なバックグラウンドを持つ各氏が、それぞれの事業現場で向き合っている課題や推進の背景について語りました。
稲川氏は、資産・デジタル資産・身分情報を一括管理するデジタルウォレット「Universal Wallet Infrastructure(UWI)」を紹介。利用者が個人情報を選択的に開示できる仕組みや、企業がユーザー接点を一元化できるメリットを語る一方、普及には発行者・検証者の参画やセキュリティ設計、国際的な相互運用性といった課題があると指摘しました。
続く辰巳氏は、2022年に金の市場価格とへ連動する暗号資産「ZPG」を発行した経緯を紹介。2018年のNEM流出事件を受けた規制強化で、サービス化までに5年を要したという裏話も明かしつつ、今後は金属・エネルギー・不動産など幅広い資産のトークン化を進めていく方針を語りました。
博報堂キースリーの重松氏は、デジタル社債やセキュリティトークン、ステーブルコイン、DAOといった業界の注目キーワードを整理したうえで、不動産を裏付けとするセキュリティトークンに「物語性」を持たせる可能性を紹介。ビール会社がスポンサーになる「ビールマンション」のような、ユニークな物件設計の例も挙げられました。
セブン銀行の山方氏は、全国約27,990台・年間11億回の取引という同社ATMの接点の大きさを起点に、東急電鉄とのコラボレーションで実施したNFT配布サービスを紹介。ATM利用者に個人情報を取得せずデジタル特典を届けられる仕組みとして注目を集めました。さらに、暗号資産取引所とウォレットをつなぐ「Web3 Gateway」構想や、現金輸送・警備といった労働集約的なATM運営業務をDAOで再設計する構想も紹介され、資料には「世界で初めて、DAOを正しく理解し用いる銀行になる」というメッセージも掲げられていました。
野村ホールディングスの松永氏は、80以上の企業・団体のビジネス事例に基づき、Web3のトレンドを解説。物流業界では時間と工数の削減効果がすでに明確に出ていることを紹介し、次の段階ではAIエージェントやステーブルコインとの連携も視野に入れていること、脱炭素や少子高齢化対策など立場を超えて参画しやすいテーマとWeb3の親和性が高いことを語りました。
講義を貫いていた一つのメッセージは、単なる概念的な議論にとどまらず、実社会のインフラやビジネスにブロックチェーンをいかに組み込むかというリアリティでした。各登壇者の言葉からは、「Web3という技術を、より安全に、かつ身近な社会インフラとして広く普及させていく」という共通した熱量と挑戦への意思が感じられる時間となりました。
【参加者も一緒に考えるワークショップ】
今回は、5社がそれぞれ2つのキーワードを提示し、参加者が気になった方を選んでグループでディスカッションする形式で進行しました。1分でキーワードを選び、5分間のグループディスカッションを経て2分で発表。前半・後半それぞれもっとも健闘した1グループには、ビットコイン(BTC)の景品が贈られました。各テーブルには軽食も用意され、参加者は食事をとりながらディスカッションを進めました。
たとえば、三井物産デジタルコモディティーズが出したお題は「トークン発行」か「オンチェーン金融」。「トークン発行」を選んだグループには「商品の価格に連動するトークンをつくるとしたら、何の商品に連動させたいか」という問いが投げかけられ、米やライブチケットをトークン化するアイデアが飛び出しました。
セブン銀行が出したお題は「NFT×ATM」か「DAO×ATM(入金出金クエスト)」。「NFT×ATM」を選んだグループには「どんなコラボNFTがあると面白い、手に入れたいと思うか」、「DAO×ATM」を選んだグループには「入金出金クエストにどんな報酬や機能があればみんな参加すると思うか」という問いが投げかけられ、後者のグループからは手数料の無料化やクーポン配布といったアイデアが挙がりました。
このほか、NTTドコモ・グローバルは「ユニバーサルウォレット」と「バリデーションビジネス」、博報堂キースリーは「デジタル社債」と「不動産セキュリティトークン」、野村ホールディングスは「AI×Web3」と「社会課題」というテーマを用意し、参加者はそれぞれ気になった方を選んで意見を出し合いました。
読者の皆様も、まず自分ならどう答えるか考えてみてください。
【会場の様子】
当日は幅広い年代の参加者の皆様にお集まりいただき、会場は活気に満ちていました。冒頭のアイスブレイクではチーム名を決める時間を設け、初対面同士の参加者が多い中でも、各テーブルで早々に会話が盛り上がっていました。
講義パートでは、第一線で活躍する登壇者のプレゼンテーションに熱心に耳を傾け、メモを取る様子が多く見られました。特にワークショップのディスカッションではグループごとに熱い議論が交わされ、デジタル社債やセキュリティトークン、AI×Web3等、様々なキーワードがありましたが、どれも関心を持って議論している様子が印象的でした。登壇企業の担当者も各グループの発表に真剣に耳を傾け、具体的なフィードバックを返す場面が随所で見られ、企業の知見と参加者のアイデアが交差する時間になっていました。
【まとめ|OKJアカデミーを終えて】
今回のイベントを通じて一貫して伝えられたのは、Web3技術が単なる投機対象ではなく、上場企業をはじめとする多様な産業において実効性のある事業・インフラとして着実に進展しているという事実です。参加された皆様にとっても、最前線の知見に触れるとともに、自ら思考し議論を深める貴重な機会となったのではないでしょうか。
Web3領域は、より実用性と信頼性を高めた新たなフェーズへと進んでいます。OKJアカデミーは今後も継続して開催していきます。暗号資産に興味はあるけれど何から始めればいいか分からない -そんな方は、ぜひ次回ご参加ください。

